シックハウス症候群の要因 03
-- ダニ その1 --
むかし、布団の中をマイクロスコープで覗いてみるという企画のテレビ番組を見たことがあります。 画面に映し出される無数のダニ、ダニ、ダニ・・・。
まさに背筋が凍るような映像でした。何も知らずに、こんな布団にくるまって毎晩スヤスヤと寝ていたとは・・・。
とはいえ、ダニが一匹もいない家というのは現実的にはありえません。どんなに清潔にしていても、布団の中、カーペットの中、押入れの衣類の中などにダニは生息しているものなのです。
シックハウス症候群というと、化学物質(VOC)ばかりが取り沙汰されますが、ダニもシックハウス症候群の立派な要因になります。
ダニの種類
ダニの種類は数万種もあるといわれています。一般的には、家の中に多く生息していると思われがちですが、実際は土の中や水の中、動物、植物に寄生する種の方が圧倒的に多いといわれています。日本では約1700種のダニが確認されていて、そのうち住居内に生息するダニは100種類ほどです。
住居内で最も多く発見されるのが、チリダニ科のコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニです。この2種だけで全体の7割以上を占めるといわれているので、特に要注意ですね。
では、さっそく住居内で発見されるダニの代表的な種を紹介したいと思います(いちお、多く発見される順に並べてます)。
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チリダニ (コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ)
チリダニは、住居内に最も多く生息するダニです。圧倒的にこの種が多いです(なんと全体の7割以上!)。体長は約0.3mm程度で、カビの胞子や人のフケなどを摂食しています。意外にもこの種は刺すことはありません。しかし抜け殻やフンがアレルギーの原因となるのでとても厄介なダニです。
A イエササラダニ
チリダニの次に多く発見されるのが、イエササラダニです。体長は約0.3mm程度で、カビや食品のカスなどを摂食して生きています。この種も刺すことはありません。とくに畳の部屋から多く発見されます。またイエササラダニは、次に出てくるツメダニに捕食されます。
A ツメダニ (ホソツメダニ、ミナミツメダニ)
ツメダニは比較的大きなダニです。ホソツメダニは約0.8mm、ミナミツメダニは約0.5mm程度です。他のダニ(前述のイエササラダニなど)を捕食したり、昆虫などの体液を摂食しています。
チリダニもイエササラダニも刺すとこはありませんが、このダニは人を刺します。 ホソツメダニはかゆみや皮膚炎を引き起こす原因となり、ミナミツメダニは刺すダニの代表格といわれています。
B コナダニ (ケナガコナダニ)
コナダニの体長は約0.5〜0.8mm。様々な食べ物のカスを摂食し、非常に多くの種類のカビを摂食します。カビが増えればこのダニも増えます。カビが生育するのに適した環境で異常発生した事例もあります。この種は刺しません。
C ニクダニ (イエニクダニ)
ニクダニの体長は0.3〜0.8mm。その名のとおり肉類、魚介類を好んで摂食します。ダニの中では珍しく15℃前後の比較的低い温度を好むことから、夏だけでなく冬季にも被害が多いとされています。この種も刺しません。
D ヒゼンダニ
ヒゼンダニの体長は0.2〜0.4mm。人や哺乳動物の皮膚内に潜り込み、メスは産卵します(なんと皮膚の中に!しかも産卵まで!)。
このダニは
疥癬症(かいせんしょう)という皮膚病を引き起こします。疥癬症は激しい痒みを伴い、人から人にうつるため、老人ホームや擁護施設などで集団発生する事例があります。また、ペットの体に棲みついたヒゼンダニがヒトの体にうつることもあります。
人の皮膚の中にダニが潜り込むなんて、まるでホラー映画ですね。想像するだけでゾッとするような話ですが、疥癬症は決して珍しい病気ではないので他人事ではありません。
以上、家の中に生息する代表的なダニを紹介しました。ダニといえば、てっきりみんな刺すもの思っていましたが、刺すダニは少なくて、むしろ刺さないダニの方が多いんですね。
では、ダニがシックハウス症候群を引き起こす要因になるってどういうことでしょう。一体どんな健康影響があるのでしょうか?
というわけで、話はダニ その2へ続きます。
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