シックハウスの基礎知識 04
-- シックハウス症候群と住環境 --
それにしても、昔はシックハウス症候群なんてなかったのに、ここ20年くらいの間に一気に問題化したのは何故なんでしょうか?
ズバリ言うと、「住環境(家造り)が変わった」ということに尽きます。
家造りの変化その1・・・住宅の高気密・高断熱化
昔の木造住宅は、いい意味でも悪い意味でも隙間が多かったので通気性がとても良く、室内の空気は新鮮で、汚れにくい環境にありました。
しかし、現代の住宅は省エネ対策が重視されていることで、隙間がなくなり、気密性が高められています。その上、断熱性も高められていて、とても効率よく冷暖房が効くように造られています。
つまり、夏はとても涼しく、冬はとても暖かくすることができるので、昔に比べてずいぶんと住みやすくなったわけです。しかし、その反面、しっかり換気をしないとすぐに空気が汚れてしまうリスクも高くなったわけです。
家造りの変化その2・・・建材の高機能化・高性能化
昔ながらの、いわゆる「伝統家屋」では、無垢の木材に土壁、畳や障子という具合に、木や草、土、紙などの天然素材が用いられていました。
しかし、現代の住宅建材のほとんどは人工的に加工されています。つまり、材料の機能や性能を上げるために製造過程で多種類の化学物質が用いられているのです。
たとえば、強度を高めるための接着剤、燃えにくくするための難燃剤、長持ちさせるための防腐剤、防カビ剤・・・など。
また、低コスト化を狙って、大量生産しやすく施工性に優れた新建材や新工法が次から次へと開発されています。
このように住まい手の多種多様な要求に応えるために、様々な化学物質が用いられ、高性能な建材が提供されているわけですが、用いられている化学物質の多くは人体に有害なものばかり。さらに建材だけでなく、家の中に持ち込むカーテンやじゅうたん、家具などにも多くの化学物質が使われています。
さて、もうお分かりだと思います。
化学物質をたくさん含んだ新建材を用いて造った建物が高気密なわけですから、しっかり換気しなければ必然的に室内の空気は化学物質で汚れてしまいますよね。
本来、家は人を守ってくれる空間であるはずなのに、家の空気が人の健康を脅かすようになってしまったとは・・・。
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