シックハウスの基礎知識 01
-- シックハウスの歴史 --
まずはじめに、シックハウス問題の簡単な歴史を紹介したいと思います。
話は1970年代のアメリカまでさかのぼります。
この頃のアメリカはオイルショックの真っ只中。燃料高騰の影響から省エネが推進され、多くの事務所ビルでは室内の換気量を大幅に減らすようになっていました(たしかに、たくさん換気するとエアコン効かないですもんね・・・)。
しかしです。なんとこれが原因で、ビル内で働く人が次々と体の不調を訴えるという不思議な現象が起こったのです。
同じ頃。デンマークで、ビルに勤務する人たちの健康不良に着目したある研究者が、ビルの室内空気質と健康障害の関係についての調査を行います。
その時の報告で使われた言葉が「シックビルディング症候群 (sick building syndrome)」。欧米では「シックハウス(sick house)」ではなく、「シックビルディング(sick building)」というんですね。 (どうやら「シックハウス」という言葉は和製英語のようです。)
そして、1980年代になると欧米で同じ様な症状を訴える患者が多発します。おそらく、それまでは体調不良の原因が分からないが故に黙っていた人々が、「シックビルディング症候群」という原因を知ったことで、次々を声をあげていったのでしょう。このことが社会問題を巻き起こし、ビルにおける職場環境問題として数多くの調査や研究が実施されるようになっていきます。
もちろん日本も、欧米で巻き起こった問題をただ黙って眺めていたわけではありません。食器棚家具などから健康障害を引き起こす可能性のある化学物質(ホルムアルデヒド)が大量に放散されていたことを受け、業界内で自主規制がかけられます。
また、
1980年にはJAS(日本農林規格)において、合板から出るホルムアルデヒドを減らすため、低ホルムアルデヒド合板やフローリングの規格が制定され、F1、F2、F3の3段階の規準が設けられました(今では、F☆☆☆☆などと表示されてますが、昔はF1とかF2という表示だったんですね)。
日本で「シックハウス」とか「シックハウス症候群」という言葉が盛んに使われるようになったのは、1990年代の中頃、ちょうど当時の厚生省がホルムアルデヒドに関してガイドライン値を設定した頃です。
そして大きなターニングポイントとなる2003年がやってきます。
この年、ついに建築基準法にシックハウス対策が盛り込まれ、大幅な法改正が行われたのです。詳しくは後述しますが、シックハウス問題で槍玉にあがっていた建設業界にメスが入れられ、否応無しの対応を迫られたわけです。
こうしてマスコミの注目も高まり、「シックハウス」という言葉が一気に普及し、社会に認知されていきました。
・・・というのがシックハウス問題の(簡単な)歴史です。
シックハウス問題がどうやって広まっていったか分かっていただけましたか?
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